2008年04月20日

平井堅「楽園」

 徳永英明や槇原敬之の復活、山下達郎や小田和正らベテラン勢健在、くわえて中孝介や清水翔太、木山裕策など新しいアーチストも出てきて活気づいてきた感のある男性ソロボーカル。ようやく非バンド出身者の頭数はそろってきたような気がします。そんな中、ここ数年最前線を走り続けてきた平井堅。彼のブレイクが、その後のR&B~J-POP男性ボーカルに与えた影響は大きいと思います。ただ、前作ベスト盤の売れ方を考えると、最新作「fakin' pop」が思ったほどロングセールスになっていないのが気になります。

 今の彼の歌は、女性もひきそうなエロ系か、エロをあえて消したアイドル歌謡系か、ドバラードか・・・この3種類にきれいに分かれていて、その中間色的な曲が少ないのが残念です。彼からすると不本意かもしれませんが、彼にしか歌えない彼の代表曲として「楽園」を挙げたいと思います。

 わけありのふたりきりの密室空間。具体的なアクションはほとんど描かれていないんだけど、その分「僕ら」の揺れる感情の生き来が、聴き手の中で生々しく描かれる印象です。R&Bの曲調らしく、英語と日本語のまじりぐあいもいい感じ。
 で、ループのかかった淡々と進むリズム、薄めのアレンジに、彼の声が地声とファルセットを行き来しつつ乗っかっていく。彼のボーカルの醍醐味のひとつは、地声とファルセットの切り換わりが絶妙に連続した声質だと思うので、平坦なメロディーより音階が上下に動く方がボーカル力がより際立つようにも感じます。おさえるところと張り上げるところのメリハリもあるし。

 最近で言えば「哀歌(エレジー)」や「瞳を閉じて」は「楽園」より好きな曲です。でも前者はいかにもエロ系が匂いすぎ、後者はタイアップ等含めスタンダードの最大公約数を狙ってつくられた印象です。っいうことで、「楽園」は試行錯誤期の貴重な産物なのかもしれません。実際には、同系統の曲でこれを超える曲を出すこともまた難しいのかもしれませんが・・・ 
楽園
DefSTAR RECORDS
Ken Hirai 10th Anniversary Complete Single Collection '95-'05 歌バカ (通常盤)
DefSTAR RECORDS
posted by 覆面Z at 20:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 覆面的温故知新 | 更新情報をチェックする

2008年04月06日

中島美嘉「ONE SURVIVE」

 良くも悪くもだが、中島美嘉ほど、自分のやりたい音楽といわゆる「売れる歌」との距離が遠いように見えるアーチストもめずらしいのではないか。ひとつには非自作の曲が多いせいもあるのだろうが、NANAとして出した「GLANAROUS SKY」あたりから完全にその傾向が現れてきたと思う。ベスト盤「BEST」(05年)の選曲から漏れたシングル、06年のシングルの不振。そして再びNANAで復活し、昨年は非バラードの「LIFE」がヒットするという循環。

 彼女の代表作は「雪の華」「STARS」「WILL」「桜色舞うころ」・・・ほとんどがバラードだ。一方、彼女は「ALL HANDS TOGETHER」や最近では「永遠の詩」から感じるワールドミュージックとでもいうジャンルに隙あらば進もうとしている。で、僕が個人的に魅力を感じるのは、アップテンポの速い曲で地声とファルセットが切り換わるあたりの音程の微妙なズレ。これは出そうと思って出せるのではなく、彼女の持って生まれた才能の一つだと思う。

 そういう観点で聴くと面白いのが3rdシングル「ONE SURVIVE」だ。セールスは不振、またベスト盤からも漏れたこの曲(彼女のお気に入りでもないんだろうか・・・)。NANAを除く彼女のシングルA面ではおそらく最速。まだ彼女のボーカルスタイルが固まってない初期の作品なだけに、荒削りだがこの音程の微妙なズレが素晴らしいと思う。なぜここまで書くかというと、この曲、カラオケで歌うとものすごく難しいのだ。半音上げ下げの音程やサビの転調のキーが取れなくなりそうになる。「LIFE」もそうだが、彼女のアップテンポの曲は歌って見ると実は難しかったということが多い、

 最新作「SAKURA~花霞~」は、アルバムリカットの曲を除けばひさびさにTOP10に届かず。しかもパブリックイメージに近い和風バラードだった。音楽性とセールスの間で試行錯誤する彼女&制作陣が繰り出す今後の作品に注目してみたい。
ONE SURVIVE
ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ
BEST
ソニーミュージックエンタテインメント
posted by 覆面Z at 20:33| Comment(3) | TrackBack(0) | 覆面的温故知新 | 更新情報をチェックする

2008年03月30日

尾崎豊「太陽の破片」

 4月16日にベスト盤「SATURDAY~ROCK’N ROLL BEST OF YUTAKA OZAKI」と「WEDNESDAY~LOVE SONG BEST OF YUTAKA OZAKI」を同時発売する尾崎豊。92年に亡くなった後は昨年のZARDに匹敵する旧譜の再浮上があったし、今でもいろんな形で作品がリリースされるアーチストはごくまれだ。それだけ音楽にのめりこみはじめた当時の世代に衝撃を与え、カリスマ的存在だったことの証だろうし、アーチストが今は減ってきている、ということなのかもしれない(僕は事件事故があって、ある種カリスマ的な偶像が作られてしまったのが彼にとって不幸だった気もするのだが)。

 彼の代表曲は圧倒的に初期の頃の曲が多いと思うのだが、ここではあえて「事件」後復活してくる過程で発表された「太陽の破片」(1988年)を取り上げたい。

 この歌はやり場のない叫びが、外ではなく明らかに内向きに発せられている。拘置所での体験を思わせるタイトルや歌い出し、自問自答を繰り返す歌詞、7分を超えるシングルとしては異例の長さ、そしてとつとつと語るようなメロディー。その後「LOVE WAY」や「汚れた絆」ではアップテンポの勢いに任せる歌唱に戻っているので、自身の状態が作品に如実に現れる彼の、この時期ならではの作品だったのだと思う。

 実はこの曲、当時の自身のシングルでは最高の売上だったようだ(その後のシングル、および「I LONE YOU」「OH MY LITTLE GIRL」の再発で抜かれてしまったが)。が、ラジオ等でのオンエアが少なかったこと、アルバム未収録となったことで陰が薄くなってしまった印象がある。現時点で収録曲は未定だが、4月の2枚のアルバムには入らないかな・・・という微妙な立ち位置の曲だ。
WEDNESDAY~LOVE SONG BEST OF YUTAKA OZAKI
ソニー・ミュージックレコーズ
SATURDAY~ROCK’N ROLL BEST OF YUTAKA OZAKI
ソニー・ミュージックレコーズ
太陽の破片
イーストウエスト・ジャパン
posted by 覆面Z at 23:49| Comment(2) | TrackBack(0) | 覆面的温故知新 | 更新情報をチェックする

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